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税務署の調査は、なぜ、厳しいのか

調査を受けた経験がない人には、知らない世界


税務署の調査は厳しい、と時々耳にすることがあります。

調査を受けた人の主観か、はたまた、ただのウワサか、実際のところどうなのでしょう。

調査にやってくる担当者の立場を考えてみると、調査が厳しい理由が見えてきます。

まず、調査対象の選定


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まず、調査は、調査対象を選ぶところからはじまります。
調査対象をどう選ぶか、もちろん、今日の気分とか、くじ引きとか、気まぐれや無作為に選んだりしていません。

税務署は、日々様々な資料を集めています。
集めた資料と過去の申告を突き合わせて、無数にある申告の中から、申告もれや誤りなどで、税金を課税できそうな申告を探し出します。

基本的に、調査対象になっている時点で、税務署から、税金を課税できる見込みがあると思われていますし、その根拠もあります。
調査対象者に調査の連絡をする前には、これくらい課税できるだろうという見込みや、この問題点を指摘して課税しようという見込みが既にあります。

課税見込みこそが、クセモノ


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調査担当者の上司は、課税見込みに沿って担当者に指示を出します。
この見込みが調査担当者のノルマのようなものになります。

そして、調査を行い

課税見込み以上の結果を出すことができれば、上司からの評価も上々で、心穏やかに過ごすことができます。

しかし、結果を出せなければ、上司からシンプルに詰められます。
指示されたことを全部確認してきたのか、ちゃんと調査してきたのか、と

結果を出せない部下に優しくできるほどの余裕なんて、ない


税務署にとって、調査は、仕事です。
上司が部下を優しく諭す、なんてことはありません。

声を荒げて怒鳴りつける人
延々と叱責する人
正論をとうとうと言い聞かせる人
そのスタイルは、人それぞれです。

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実際どの程度のものか、言葉で表現するのは難しいですが
あえて言うなら

クレーマーが仏に見えるくらいまで、詰められます。

上司も上司で、上から結果を出すようプレッシャーをかけられています。
課税見込みを下回る結果しか出せない担当者に、甘い顔をする余裕はありません。

調査担当者にとって、調査の手を抜くなんて、自殺行為


調査担当者は、上からのプレッシャーに常にさらされています。

調査相手を問い詰めなければ、自分が上司に詰められてしまうという恐怖にかられてしまう担当者もいます。
当然ですが、人は、精神に圧がかかりすぎると、病みます。
実際、心労に耐えかねて休職する職員も珍しくありません。

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調査にやってくる担当者は、基本、必死です。

調査ができる職員でも、下手な結果を出せば、上司からの信頼を失いかねません。
たとえ、簡単な調査であっても、担当者は油断できず、手を抜けません。

そんなわけで
税務署の調査が厳しいのは、道理なわけです。

調査を受けるのに
何の対策もせず、ノーガードで調査に臨んで、タダで済むほど現実は甘くありません。

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編集

税理士 井上 嘉泰

元 東京国税局 資産税職員