資産税とは、相続税や贈与税のこといいます。
その担当部門は資産課税部門ですが、単に資産税と呼ばれることもあります。
資産税には、不動産・株・金などを売却したときにかかる税金も含まれます。
不動産・株・金などの売却は、譲渡所得とされ、「所得税」になりますが、
不動産・株・金などの「資産」を扱っていることもあって、資産税が担当しています。
税理士の経歴に、資産税が入っているのは、税務署で相続税に関する事務をしていたことを表すためです。
資産税以外にも税務署には、個人課税、法人課税、徴収があります。
個人課税は、会社員や個人事業主(いわゆるフリーランス)などの個人の所得税と消費税を担当しています。
年明けから始まる確定申告も個人課税が中心になって対応しています。
法人課税は、会社の所得にかかる税金である法人税と消費税を担当しています。
同じ消費税でも、個人の消費税は個人課税、法人の消費税は法人課税と、担当が分かれています。
ちなみに、酒税は、法人課税が担当しています。
徴収は、納税相談や滞納者(税金を滞納している人)の対応を担当しています。
納税相談だけでなく、滞納者の財産を差押えて公売(国が行う強制競売みたいなもの)にかける滞納処分も行っています。
徴収にだけ「課税」がついていません。
これは、個人課税、法人課税、資産課税が、税金を「課税」した後に、徴収がその税金の回収を担当しているからです。
在職中は、「課税」を省略して、単に個人、法人、徴収、資産と呼んでいました。
国税局に入ると、まず個人、法人、徴収、資産に分かれます。
基本的には、個人なら個人、法人なら法人で、その中で専門性を磨き、キャリアを積んでいくことになります。
そして、そこが職員の出身となります。
さらに各出身から人を募って編成している部署もあります。
マルサで有名な査察も、個人出身、法人出身など、いろいろな出身の職員で構成されています。
逆に、その出身でないと配属されない部署もあったりします。
まさに、配属ガチャ
出身がどこになるかで、その後のキャリアパスが大きく変わってきます。
職員採用時の配属の割合は、ざっくり法人45%、個人35%、徴収15%、資産10%となります。
見てのとおり資産は、少数派です。
全体の10%しかいません。
以前より増えたとはいえ、相続税を専門とする税理士も多くはありません。
亡くなったときにだけ申告する相続税は、毎年申告する必要がある個人の所得税の申告や法人税の申告と比べると、申告件数が少なく、専門とするには、需要がそれほど大きくないからです。
そんなこともあり、資産出身で税理士になる元国税職員は、個人や法人に比べて少ない傾向にあります。
さらに最近は、中途退職して税理士になる職員も減り、定年まで組織に残る人が多いです。
定年延長の影響もあり、わざわざ雇用の安定した公務員を辞めてまで、失敗する不安を抱えながら税理士になろうとは思わないからです。
こういう事情もあって、資産出身の元国税の税理士は、珍しがられます。
実際に、珍しい経歴ですねと何度か言われたこともあります。
当事者としては実感がないので、はあ、そうですか、と答える他ないのが実情です。